症例紹介 CASE

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高カリウム血症(尿道閉塞)

10月です。この前まで暑いと思っていましたが、急に寒くなりましたね。お昼のワイドショーで見たんですが、11月末くらいの寒さらしいです。

 

今月も一つ載せようと思うのですが、先日、エマージェンシー(緊急状態)で運ばれてきた猫ちゃんがいましたのでその話を書きます。

救急で対応にあたっていたので写真とか動画とか記録をとる余裕がなかったのでほぼ文字だけですが。。。

 

運ばれてきた猫ちゃんは尿道閉塞でぐったりしていました。

尿道閉塞の時間が長くなると、腎臓で処理した老廃物が出せずに体に溜まって様々な症状が出ます。

尿素窒素、クレアチニン、リンという値がこの猫も跳ね上がっていて、意識が保てず立てない状態でした。

 

特にカリウム(K)が上がってくると緊急度が高く、この猫は高カリウム血症を起こしていました。

来院時、カリウム値が8.2mEq/Ⅼ(正常値3.4~4.6)でした。

高カリウム血症になると徐脈(心電図の波の1個1個の延長)やテントT波(心電図のT波という波の増高やとんがり)といった特徴的な心電図所見が出ます。

猫の心拍数は通常180~200回/分くらいあるのですが、この猫ちゃんは来院時は105回/分でぐったりしていました。

8.0mEq/Ⅼを超えていると、処置中に心臓が止まってしまう事があるため、

処置(尿道閉塞解除)の前にまずやることがあって。

第一に、静脈血管確保にて輸液。(カリウムを薄めてしまおうと)

第二に、心筋を保護する薬の投薬。(処置中に心停止を起こさせないため)

第三に、カリウムを低下させる薬剤の投薬です。(カリウムを細胞内に取り込み、濃度を下げる)

 

この猫ちゃんも無事に高カリウム血症(6.9mEq/ L)を脱したので

麻酔管理上、尿道カテーテルにて閉塞を解除し、一晩の入院で元気になりました。

 

猫ちゃんは徐脈になると命の危険があります。

健康時の脈拍や心拍数の確認が出来そうなら、時々測定してみて下さい。

 

あくまで当院で行っている診断・治療を元にしています。

ご参考にしていただけたら幸いです。

 

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