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化学療法剤治療(抗がん剤治療)
院長の橋本です。9月になりました。今月も一記事投稿してみようと思います。
と言ってもあまり内容はないのですが、抗がん剤治療についてです。
腫瘍に関しては、外科手術、化学療法剤、放射線療法、分子標的薬、免疫療法など様々な治療法がありますが、
その内、化学療法剤治療(抗がん剤治療)についてです。
抗がん剤については、動物の承認がとれているものはほぼなく、人用の薬剤を使用しています。
人用のため全て承認外適用なので、化学療法自体の治療をしていない病院ももちろんあります。
当院では使用の必要があれば、飼い主様の希望と承認外適用に対する同意を確認して、薬剤を発注して治療しています。
私が使用したことのない薬剤の場合、腫瘍科の詳しいところ、使用経験の多い先生のところへ紹介する場合もあります。
犬の多中心性リンパ腫の25週間クールの治療をやり遂げて、
今は元気に生活しているワンちゃんがおりますので治療中の写真も投稿したいと思います。
抗がん剤使用後の副反応としては様々で
- 一過性の食欲不振
- 投与後、数日間一過性の骨髄抑制(白血球や血小板が減少すること)
- 投与後2~5日後に一過性の嘔吐および・あるいは下痢、まれに血便
- 血管外に漏出したときに周囲組織の壊死
- アレルギー反応(投与直後に発生)
- 蓄積性心臓毒性(心臓の収縮力の低下)
- 出血性膀胱炎(尿に血液が混じる膀胱炎)
- 一過性の脱毛及び色素沈着(回数を重ねるごとに皮膚が黒っぽくなること)
- 肝臓酵素の上昇
- 腎臓の機能低下
- その他
などなどありますが、使用前には『化学療法剤開始同意書』なるものにサインを頂いて毎回治療をしています。
骨髄抑制(免疫低下)、皮膚脱毛や皮膚の変化、消化管毒性(嘔吐や下痢)は多く経験する副反応です。
また、抗がん剤は使用中の獣医師・看護師などスタッフはもちろん、一緒に生活する飼い主さんにも害を及ぼすことのある薬剤です。
取り扱いには細心の注意を払って臨む必要があります。
写真は投薬中の写真です。右にお掛けになっている方が飼い主さんですが、みんな手袋・マスク・キャップ・防護服を装着の上、治療にあたっています。
薬剤を調剤、注入する人はゴーグルも装着します。
一回の投薬で30分くらい時間をかけます。その後1時間くらい点滴をして帰宅してもらっています。
薬によっては皮膚に漏れることで組織壊死を起こすこともありますので、常に気を張って問題がないか確認しながら望みます。
あくまで当院で行っている診断・治療を元にしています。
ご参考にしていただけたら幸いです。