症例紹介 CASE

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猫不妊手術(閲覧に関して:手術画像あり)

院長の橋本です。症例報告ではないですが猫ちゃんの不妊手術について書いてみます。

 

メス猫の妊娠をさせないようにすることはもちろん

発情季節に大きな声で鳴いたり、ストレスになるのを予防します。

子宮や卵巣など性ホルモンが原因で将来メスの猫がかかる病気の予防にもなります。

一番のメリットは早期に不妊手術を行うことで乳腺腫瘍、乳腺癌の予防になることです。

 乳腺腫瘍は6ヵ月くらいで91%、1歳くらいまでで86.0%の予防効果があり、

 それ以降は24か月齢までで11.0%、24か月齢以降:効果なしとされています。Smith A.N. Small Anim Pract. 2014

 

デメリットは太ってしまって、他の病気になることでしょうか。手術後の食事管理は十分必要です。

 

全身麻酔で手術を行うため、当院では年齢に関わらず全ての猫で血液検査など術前検査を実施しています。

まずは2週間くらい前に血液検査、当日に胸部レントゲン撮影と血液凝固検査を受けてもらっています。

必要があれば心臓エコー検査、心電計検査などを追加検査します。

 

注射麻酔薬で麻酔前投薬、麻酔導入を行い猫を不動化(動かなく)し、気道に管を入れ吸入麻酔にて維持します。

手術部位である腹部の毛刈り、点滴の管を入れる前足の毛刈りを行います。

 

手術写真です。写真撮影のために引っ張り気味ですが、鉗子(カンシ)という金属の器具で持っているところが左右卵巣です。

子宮は人のように単一子宮というものではなく、2股に分かれる両分子宮(両分と双角の中間という表記をしている場合もあります)という形をしています。

 

上部は卵巣動静脈、卵巣提索を結紮分離、下部は子宮体のところで結紮分離を行い、閉腹縫合をします。

 

麻酔下でのマイクロチップ挿入を希望される場合は同時に挿入します。(写真は専用注射器でマイクロチップを挿入しているところです。)

 

服を着せて終了です。

 

別の猫ちゃんですが、外に行く外猫、要はノラ猫さんの手術を頼まれることもあります。

飼い主がいない猫を増やさないためにも大事な事だと思います。

外猫さんはもう一度捕獲して来院したり、性格上、術後の検診、抜糸が難しい場合もありますので、

傷をできるだけ小さくし、皮内縫合(皮膚に吸収する糸で埋没縫合)し、後日抜糸を不要にします。

 

また、7月くらいからキティちゃんでおなじみのテレビCMで見かけた方もいるかもしれません。

JSPCA支援キャンペーン「HELLO 地域猫!」

の耳カットを頼まれることもあります。(こちらのキャンペーンは当院全く関係ないです。)

外猫ちゃんが不妊去勢を行っているという目印が耳カットで、当院ではメスは左耳、オスは右耳にカットを行います。(自治体によって規定されているところもあります。)

もちろん、耳カットを希望されない方もいらっしゃいますので、手術済みでも耳カットをしていない外猫ちゃんも多数います。

耳カットのない外猫ちゃんは手術が実施されたかどうかわかりませんので、再度捕獲されたり麻酔をかけられたりしてしまいます。

それを防ぐために、耳カットを行っています。あきらかに写真のような人工的な切込みの場合はケンカ傷や虐待ではないと思います。

もし、耳カットされてる猫ちゃんを見つけたら暖かく見守ってあげてください。

 

あくまで当院で行っている診断・治療を元にしています。

ご参考にしていただけたら幸いです。

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