症例紹介 CASE

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猫の尿道閉塞

院長の橋本です。

今シーズン(寒い冬から春にかけて)

本当に多かったです!オス猫の尿道閉塞!救急疾患です!!

注意・予防の必要性も込めて、開業10年目にして初投稿してみます!

ちなみに挿絵も自力で書いてみました(笑)

 

尿道閉塞とは

尿道内に何らかの物質がたまって塞栓することによって急におしっこが出せなくなる病気です。

特に尿道が細くて長いためオス猫に多いとされ、運動量と水分摂取量の低下する冬場に多く発生します。

・オス猫

・冬が多い

 

尿道閉塞を起こした猫ちゃんには何らかの前兆があることが多く、

・トイレの回数が増えたり

・尿に血が混ざったり

・トイレにいくけれども尿が出ていない

などがある場合はすぐに動物病院を受診してください。

 

10歳未満では

・尿道栓子(壊死組織、尿路上皮細胞、アルブミン、ムコ蛋白、凝血塊、炎症産物など)

・結石(ストラバイト結石やシュウ酸カルシウム結石)

などの閉塞物が多いです。

 

・尿道の狭窄

・尿道内の腫瘍

などもまれにあります。

 

症状

尿が出せなくなってからの時間によって様々です。

・頻回の排尿動作

・血尿

・排尿痛からの異常な鳴き声

・触られるのを嫌がる

・陰部をなめる

 

24時間以上経過すると

・食欲がなくなる

・ 嘔吐

・ 体温低下

・ 意識レベルが下がる

・ ぐったりする

などがみられるようになります。

 

診断は?

ペニス先端を確認したり、パンパンに硬くなった膀胱を触診で確認します。

高カリウム血症(K上昇)により、心臓が止まりかかっている場合もあるため、聴診や心電図検査を行います。

血液検査にて、高カリウム血症や高窒素血症などを確認します。

エコーやレントゲン撮影で結石の確認をします。

 

治療について

尿道カテーテル閉塞解除前に、重度な高カリウム血症がある場合には心停止を起こす場合があります。まずは心臓を保護する薬を注射し、カリウムを低下させる点滴をします。

尿道閉塞の解除は激痛を伴うことが多く、当院では安全に処置をするために、ほぼ全身麻酔下で行っています。

カテーテルを用いた尿道閉塞の解除と、続く身体の異常を輸液などで改善させます。

大体1~3日くらい入院します。

 

予防方法は?

早期に閉塞が解除できれば予後は良好です。

尿路閉塞は再発が多く、退院後すぐ閉塞する場合もよく経験します。

原因は尿石症や特発性膀胱炎(FIC)が多く、食事、飼育環境やストレスなど複数の因子が関連していると言われています。

退院後も適切な食事療法とともに環境改善が必要となります。とくに多頭飼育では発見が遅れるケースも多く、ストレスもかかるので発生率があがります。

 

外科手術について

尿道閉塞、解除を繰り返しても何度も再発したり、完全に尿道が狭窄してしまった猫ちゃんも稀に経験します。尿道造影検査など詳しい検査をして、尿道の閉塞解除が完全に不可能と判断した場合には外科手術を選択することがあります。

 

会陰尿道造瘻術という手術をし、うまく排尿が維持できている猫ちゃんがいますので、また次回機会があれば、術後写真などを用いて説明したいと思います。

 

あくまで当院で行っている診断・治療を元にしています。

ご参考にしていただけたら幸いです。

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