症例紹介 CASE

カテゴリー:

その他

椎間板ヘルニアと進行性脊髄軟化症

院長の橋本です。1カ月に一度くらい目安で更新できればということで、

性格上、いつまで続けられるかですが。。。ちょくちょく症例報告をアップしていきます。

 

注意すべき後肢疾患です!

 

ハンセンⅠ型椎間板ヘルニア

ミニチュア・ダックスフンドに多い、椎間板ヘルニアの代名詞。

椎間板物質の髄核変性(水分含有量・線維成分が減る)が起こり、石灰化(骨のように固くなる)、強い衝撃により脊柱管へ髄核が飛び出し脊髄を圧迫します。

Mダックスなどは軟骨異栄養犬種と呼ばれ、1歳で髄核変性・2歳で石灰化、3~6歳という若い年齢であろうと急性に発症するケースも多い。

 

椎間板物質をクリームパンに例えるなら…(引用:イラストでみる犬の病気 講談社)

線維輪がクリームパンの皮、髄核が中のクリーム。

正常であれば水分が多い新鮮なクリームパンが椎骨の間に挟まり、椎骨・脊髄を保護している状態。

ハンセンⅠ型の椎間板物質は古くなったクリームパンで水分が徐々に少なくなり、パンがカスカスに固くなっている状態。

強い衝撃に弱く、中のクリームが脊柱管へ飛び出し脊髄を圧迫してしまう。

 

臨床グレード(G1⇒G5の順で重症)

  1. 脊柱の痛み(腰痛)
  2. 姿勢反射消失、麻痺、歩行可能
  3. 姿勢反射消失、麻痺、歩行不可能
  4. 膀胱拡大、麻痺、深部痛覚あり
  5. 深部痛覚消失を伴う麻痺

 

G3以上なら手術が勧められるが治るかどうかはしてみないとわからないところがある。

G1・2はほとんど温存療法により2週間くらいで治ることが多いが、15%くらいは臨床グレードが上がっていき状態が悪くなることがあります。

5日は絶対安静(ケージレスト)。2週間安静で経過観察。運動をさせないこと。太らせないこと。

レーザー治療、針治療、鎮痛薬などは補助的なもので、まずは絶対安静が重要です。

 

G2症例 ケージレストにて温存療法

受傷後、後肢が立たなくなる。G2

 

バスタオル2枚とケージを用いた本気のケージレスト5日間

(中で飛んだり、振り向いたりできないくらい。ヒトで言うとベッドで寝たきり状態)

 

ケージレストで絶対安静後、やや歩けるようになりました。

 

2週間安静後、普通に歩けるようになりました。

 

 

進行性脊髄軟化症

臨床グレード5の10%、対麻痺の3~6%でまれに起こるといわれています。

ヘルニア症状に加え、沈鬱・食欲不振・激しい疼痛・悲鳴など症状が伴います。

脊髄の腫脹・出血・溶解が起こり、障害部位から上行性・下行性に広がり、最後は呼吸停止で窒息死します。

手術しても助けることができない病気です。

 

これも例えるなら

脳から脊髄というパイプラインにより石油を各地に送っている。

どこかで障害(ヘルニア)を受けると、それ以降先に石油が送れなくなり機能しなくなる。

(後肢が動かない、排便・排尿が自分でできないなど)

たまーに石油に引火してしまい火が上や下へ広がってしまう状態が、進行性脊髄軟化症です。

 

 

 

 

あくまで当院で行っている診断・治療を元にしています。

ご参考にしていただけたら幸いです。

 

 

 

 

ページトップへ